近視・遠視・乱視に対応!屈折矯正の新治療
見えるしくみと
従来の屈折矯正手術
人間の眼球がものを見る仕組みは、カメラと似ています。カメラのレンズにあたるのが眼球前方にある角膜・水晶体で、フィルムにあたるのが目の奥にある網膜です。私たちがものを見る時、ものの色や形が光として目に入り、角膜・水晶体(レンズ)で屈折し、網膜上(フィルム)に光が集まることで、はっきりと画像として捉えることができます。その際、角膜・水晶体(レンズ)の屈折力が大きすぎて、目に入ってくる光線(平行光線)が網膜の前方で集まる状態を「近視」といい、反対に屈折力が小さく網膜後方で結集する状態を「遠視」といいます。また、眼に入った光が1か所に集中せず、ずれた状態になるのが「乱視」です。日本人の4割ほどは近視と言われており、近年はスマートフォンの普及により若年層の視力低下が一層、危惧されています。
近視、遠視、乱視を治す屈折矯正手術の一つに、レーシックというエキシマレーザーで角膜を矯正する治療法があります。角膜の表面を薄く切ったフラップと呼ばれる「ふた」を作成して、これをめくり内側にレーザーを照射して角膜を削ることで、屈折力を変化させ視力回復を図るという治療法です。眼鏡やコンタクトレンズから解放されるというメリットがある一方、ドライアイや、夜間などに発生するハロー・フレアが生じたり、術後数年で近視気味になる「近視の戻り」が起る場合があるなどデメリットもあります。レーシックは日本では2000年ごろから広がった治療法で、一般的に普及し確立されている技術ですが、強度近視や乱視、角膜の厚さや形状の問題で手術適応が難しい場合もあり、また一度削った角膜をもとに戻すことは出来ないという難点がありました。
角膜を削らず症状改善!
強度近視や乱視矯正にも対応
現在、注目されているのが2010年に厚生労働省の承認を受けた"角膜を削らない"有水晶体眼内レンズ手術(ICL)という屈折矯正手術です。医療技術の進歩によりレンズの改良が進み、白内障など合併症を引き起こすという従来の問題が軽減されたことから、近年普及している治療法です。また、視力矯正できる度数の範囲が広く、角膜の厚さや形状に問題があっても治療を受けることが出来るなど適応も広がっています。
有水晶体眼内レンズ手術(ICL)では、眼内レンズを挿入して視力回復を図ります。手術の際、散瞳剤点眼で瞳孔を開き、点眼麻酔を行ったのち、黒目と白目の境目に数ミリの創口を作成します。そして、創口から小さく折りたたんだソフトコンタクトレンズのような無色透明レンズを挿入して、角膜の下の虹彩と水晶体の間に固定します。切開創は眼内圧により自然に閉じるため糸で縫合する必要がなく、手術時間も短いため日帰りで受けることが可能です。また、目の中に入れるレンズは曇ったり汚れたりしないため、一般的なコンタクトレンズのように、日々のお手入れやメンテナンスが不要で、半永久的に使用可能です。特に、角膜を削らないため見え方の質が高く、また状態によってはレンズを取り出せるため、将来的に白内障の手術を受けることが出来るのも大きな利点です。
ただし、有水晶体眼内レンズ手術(ICL)は、症状により適応は異なります。また、高い技術力を要する手術なため、十分に修練を積んだ一部の眼科専門医のみが行っている高度な手術なため、気になる方は治療が受けられる専門の医療機関に相談すると良いでしょう。
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