ライフスタイルを重視した患者を支えるチーム医療
世界トップレベルの
日本の透析医療
近年、慢性透析患者数が年々増加傾向にあります。生活習慣病や人口の高齢化などが要因となっており、腎臓の機能が低下して、足・手・顔などに「むくみ(浮腫)」が表れたり、排尿時に血尿をともなうなどの症状が現れてきます。
症状改善を図るため、糖尿病・高血圧など原疾患の治療、生活指導、食事療法、薬物治療が行われます。しかし、腎臓の血液ろ過、老廃物排出機能が10%以下になると、老廃物を十分に排出出来なくなって心不全を起こすなど、危険な状態に陥る場合があります。こうした末期腎不全の場合、腎移植や透析療法が行われます。日本の透析医療は合併症が少なく、死亡率も低いため「世界トップレベル」と言われており、医師の指示のもと看護師、管理栄養士、また透析医療機器の保守・点検などを担う臨床工学技士など、多職種の専門スタッフが結集しチーム医療で治療が行われています。
血液透析・腹膜透析とは
「在宅透析」も可能に!
透析療法には血液透析(Hemo Dialysis:HD)と腹膜透析(Peritoneal Dialysis:PD)という2つのタイプがあります。血液透析とは、本来の役割を果たせなくなった腎臓の代わりに、体内の血液を一旦外に出して、人工腎臓を介することで血液をろ過し、血液中の老廃物などを取り除いた後、きれいになった血液を体内へ戻すという治療法です。治療の際に大量な血液の出入り口が必要となるため、手首近くの動脈と静脈をつなぐ「シャント」と呼ばれる太い血管をつくる手術が行われますが、局所麻酔で行えるため日帰りで手術を受けることが可能です。また、シャントは使い続けると詰まったり閉塞したりすることがあるため、きちんとした治療を受けるために、定期的なメンテナンスが必要になります。
一方の腹膜透析は自分のおなかにある腹膜を使い尿毒素の除去を行う方法です。毎日緩やかに透析するため、残っている腎機能を長く保つことができます。透析液の交換や装置のセットアップに手間がかかるという不便もありますが、通院が月に1~2回程度と少ないため、生活の自由度が高いのが特徴です。また例えば、最初は血液透析から始めた方でも腹膜透析に移行したり、その逆も可能です。更に、血液透析と腹膜透析の併用療法を移行期の橋渡しとしても受けることができ、またどちらの透析を行っていても腎移植を受けられます。
慢性腎不全は人生と共に長くつきあっていく病気です。血液透析と腹膜透析、どちらの療法も特徴は様々ですので、自身の症状やライフスタイル、家庭環境などに応じてより良い治療を選択することが大切です。また、血液透析は、一般的に1回4時間程度、週3回通院する必要がありますが、全国でも一部の医療機関では、自宅で血液透析が行える「在宅透析」を受けることが可能になっていますので、気になる方は専門の医療機関へ相談すると良いでしょう。
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