足の痛みやむくみは要注意! 保険適用の血管治療
放置して重症化すると
潰瘍ができ出血することも
下肢静脈瘤とは、足の静脈に血液が溜まり、血管が瘤のようにふくれてしまう病気です。静脈には、「ハ」の字の形をした静脈弁が備わっており血液の逆流を防ぐ役割をしていますが、強い静脈圧がかかり続けると、壊れて逆流を招き足に血液が溜まって静脈瘤を発生させます。
下肢静脈瘤になると、太ももやふくらはぎなどの静脈が拡張して瘤が出来たり、皮膚の上からでもはっきりと分かるほど静脈の血管の凸凹や、青色の網目状または、紫紅色のクモの巣状に血管の広がりが皮膚の上から透けて見えるといった症状がでてきます。
主な要因としては、長時間の立ち仕事、肥満、加齢、また妊娠、出産なども挙げられるため女性の発症率が高く、男性に比べ2~3倍多いと言われています。下肢静脈瘤になると、足の痛みやむくみ、だるさ、こむら返りなどの症状がでてきます。
良性の病気ですので、放置しても基本的に健康を損なうことはありませんが、自然に治ることはなく、重症化すると湿疹や色素沈着などの皮膚炎を起こし、潰瘍や出血を引き起こすこともあります。外見が気になる場合や、痛みやむくみなどの症状が辛い場合、皮膚炎がある場合などは、治療が必要です。
多岐にわたる治療法
症状と治療の特質
軽症の場合は、日常生活の改善や弾性ストッキング着用などによる保存療法を行います。ある程度むくみやだるさなどの症状は改善されますが、さらに症状が進行した場合は、他の様々な治療法が検討されます。
例えば硬化療法は、下肢の静脈瘤に薬を注射して血管を固める治療法で、クモの巣状や網目状の静脈瘤に有効で、外来で行うことができる治療法です。
また、下肢静脈瘤の手術として古くから行われてきストリッピング手術は、静脈の太さが10㎜を超える血管にできた静脈瘤や、激しく蛇行している静脈瘤でも治療が可能です。下肢静脈瘤の中に手術用のストリッパーというワイヤーを挿入し、静脈瘤の静脈ごと引き抜く根治手術で、再発率が低いことが大きな利点です。さらに、足のつけ根や膝の裏側の血管を糸で縛る高位結紮術もあります。ただし再発率が高く、多くの場合は硬化療法などと組み合わせて治療を行います。
「切らない」手術で
下肢静脈瘤の症状を改善
近年、下肢静脈瘤の治療法として広く普及しているのが、血管内焼灼術です。 血管内焼灼術とは、高周波やレーザーを使った「切らない」治療法で、ふくらはぎや膝の内側などから細いカテーテルを血管内に挿入し、内部から静脈を焼いて閉塞させます。血管は時間の経過と共に小さくなり、最終的には体内に吸収されてほとんど目立たなくなります。従来の手術と違って切開を行わないため、縫合する必要はなく、傷跡はほとんど残りません。血管内だけの治療のため身体への負担が軽いことが大きな利点で、日帰りや1泊2日などの短期滞在での治療が可能です。血管内焼灼術は低侵襲であるのみならず、経済的負担も軽くて済む治療法です。
保険適用広がる
負担の少ない下肢静脈瘤治療
2011年にはレーザーを使った血管内焼灼術が保険適用となり、2014年には波長1470nmレーザーによるレーザー治療と高周波治療にも適用範囲が拡大しました。 下肢静脈瘤は命にかかわる病気ではないため、症状があっても放置する方も多いようです。ただし、ひとたび壊れた静脈弁は元には戻らず、時間が経過すれば悪化する傾向があります。早めの治療を受けることが、生活の質を上げることにつながると言えるでしょう。
注目の次世代治療!傷跡が小さく負担を軽減
女性に多い下肢静脈瘤
悪化する前に適切な治療を
下肢静脈瘤とは、足の血管がふくれて瘤のようになる病気で女性に多く見られます。静脈は、全身に張り巡らされている血管で、体の末端から心臓へ血液を送る役割を果たしています。しかし、静脈内にある血液の逆流を防ぐための弁が壊れると、血液が逆流して血管内に溜まり、血管が拡張して下肢静脈瘤を引き起こします。
主に、加齢や肥満、妊娠・出産、長時間の立ち仕事などが原因となり、ふくらはぎのだるさや痛み、足のむくみ、こむら返りなどの症状が出てきます。下肢静脈瘤は良性の病気のため、命に関わることはありません。ただし自然に治ることはないため、外見が気になる場合や痛みがつらい場合、さらに湿疹や潰瘍といった皮膚炎を起こす場合は治療を行います。
下肢静脈瘤の治療法には、弾性ストッキングを着用する圧迫療法や、注射で静脈瘤を固める硬化療法、静脈を引き抜くストリッピング手術などがありますが、近年ではレーザーで静脈を焼く下肢静脈瘤血管内焼灼術が主流となっています。
下肢静脈瘤の次世代治療
2019年から保険適用に
現在、体に優しい次世代治療として注目されているのが、2019年保険適用の下肢静脈瘤血管内塞栓術、通称グルー治療です。カテーテルを使用した血管内治療で、医療用接着剤(グルー)を静脈内に注入し、血管を塞いで血液の逆流を止めます。手術時間はおよそ30〜60分、原則として治療後に弾性ストッキングを履く必要がなく、運動や生活の制限もほとんどありません。麻酔も少量で済み、血管を焼かないため痛みが少なく傷跡も針穴のみと美容的にも優れています。欧米では既に広く行われている治療法ですが、日本国内ではまだ症例は少なく、全国でも限られた医療機関でのみ行われている治療法です。
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