早期治療の選択肢!関節を残す注目の低侵襲治療
末期になると人工関節に
早期治療が大切
関節疾患を発症すると、軟骨や周囲組織へ影響を及ぼし、進行すると強い痛みが生じて機能障害を引き起こします。治療は初期の場合、保存療法が行われますが、末期になり日常生活に支障をきたす場合は、人工関節置換術が検討されます。変形、損傷した関節を人工関節に置き換える手術で、痛みなどの症状を改善することができますが、関節を取り除くため負担が大きいという側面があります。
自身の関節を残せる
注目の「骨切り術」
人生100年時代。長く健康的な人生が送れるようQOL向上を目指し、関節温存手術が再認識されています。その代表である「骨切り術」。関節付近の骨を切って矯正したり、位置を調整して症状改善を図る手術です。従来、術後骨が癒合するのに時間がかかるなど敬遠されることもありましたが、医療技術が向上し、骨切り術専用の強度なプレートや人工骨の開発なども進んでいます。自身の関節を残せるのが大きな利点で、正座やスポーツなど日常生活の制限が少なく、人工関節置換術に至るまでの時期を遅らせられるため、大変注目されています。
変形性膝関節症や膝関節骨壊死などに適用される高位けいこつ脛骨骨切り術。膝下部分の脛骨を切り、正常な角度へ矯正して症状改善を図る手術で、状態に応じてオープンウェッジ法、クローズウェッジ法のいずれかが適用されます。近年、脛骨の内側から外側へ骨を切り開いて人工骨を埋め込み、金属プレートやスクリューで固定して矯正する、侵襲が低いオープンウェッジ法が主流となっています。 変形性股関節症や、それを引き起こす原因ともなるかんこつきゅう寛骨臼形成不全に適用される寛骨臼回転骨切り術などの寛骨臼移動術。寛骨臼を球状にくり抜き、回転させて固定する手術で、体重がかかる面積を広くし、一部分に集中していた負担を分散させることで痛みの軽減を図ります。近年、筋肉への侵襲を抑えることが可能な、前方アプローチによる寛骨臼移動術も行われるようになるなど、低侵襲化が進んでいます。
ただし、手術適応は初期から中期など比較的軽度な状態であるため、早めに専門の医療機関へ相談するとよいでしょう。
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