人工関節置換術は、変形した関節を人工関節に置き換えることで、症状を改善させ機能再建を図る高度な手術です。膝関節の手術では従来、膝関節を全て取り換える人工膝関節全置換術が主流でした。近年、一部分だけを取り換える人工膝関節単顆置換術(UKA)が行われるようになりました。傷が小さいため身体への負担も軽く、術後回復が早いという利点が挙げられます。また、股関節の手術においても最小侵襲手術(MIS)が行われるようになり、負担が軽減しています。小さく切開するので筋肉の回復も早く、短期間のうちに自力で動くことが可能になります。
高齢化が進み、特に健康寿命の重要性が指摘されています。いつまでも自身の脚で歩行出来るということは、QOL(生活の質)を高め充実した老後を送ることにもつながります。高齢だからとあきらめず、症状に適した治療が行えるよう専門医の診断を受けることが大切です。
膝関節は、大腿骨と脛骨、腓骨、膝蓋骨で構成されています。人工膝関節手術は従来、これらすべてを人工関節に換える人工膝関節全置換術が主流でした。すでに40年近い歴史があり、成績の安定した手術です。
人工股関節置換術は、股関節の傷ついた部分を取り除き、人工関節に置き換える手術です。人工股関節は特殊な金属やポリエチレンなどでつくられており、複数の部品を組み合わせて使います。従来の手術は、関節の後ろ側から行う後方アプローチが主流でしたが、大きく筋肉を切る必要がありました。
ロボットアームとは、コンピューター制御された「機械の腕」のことです。医師がナビゲーションシステムに従ってロボットアームを操作しながら手術を行います。治療計画から外れた角度や深さで骨を削ろうとしたり、人工関節を設置する位置がずれたりすると自動停止する仕組みになっています。そのため、より安全かつ正確に人工関節を挿入することが可能です。ロボットアームを使う手術は、アメリカで開発された新しい手法で、ヨーロッパやアジア諸国で普及してきました。日本においては、「Mako」と「NAVIO」が薬事承認されており、現在、全国でも数少ない一部の医療機関でのみ導入されています。