本態性振戦を改善!高度な「ふるえ」治療
原因のない「ふるえ」症状
広がる治療の選択肢
医学用語で、「本態性」は原因不明であること「振戦」はふるえを指します。本態性振戦とは、自分の意思とは関係なく身体の一部が規則的に動いてしまう病気です。「ふるえ」がみられる以外はとくに問題となるような異常は見られませんが、40 歳以上の20人に1人、65 歳以上の5人に1人がかかっている身近な病気です。
本態性振戦の治療では薬物療法を行い、十分な効果が得られない場合は合併症や副作用なども考慮し、脳内に電極を留置する脳深部刺激術(DBS)などの手術療法が検討されます。しかし近年、切らずに治す治療法が登場するなど治療の選択肢が広がってきています。
頭を切らずに症状改善!
注目の「ふるえ」治療
現在、注目されているのが集束超音波治療(FUS)です。頭部に多数の端子がついたヘルメット型装置を装着して固定した状態でMRIに入り、脳の一部に超音波を集中照射させ、患部を熱凝固することで「ふるえ」を抑えるという画期的な治療法です。
集束超音波治療(FUS)は、従来の手術療法のように頭蓋骨に孔をあける必要がありません。治療時間は2~3時間程度で、出血や感染症のリスクも抑えられることから、入院期間は2日~1週間程度で済み、退院後は通院して経過観察を行います。治療中に全身麻酔をしないため対話することが可能で、医師が状態や効果を細かく確認しながら、正確かつ適切な治療が行えます。また放射線被曝がなく、治療後すぐに日常生活に復帰できることが大きな利点です。
本態性振戦に対する集束超音波治療(FUS)は、2019年6月に保険適用されるようになり、さらに2020年9月からは一部のパーキンソン病の患者にも対象が拡大しています。自身の「ふるえ」を年齢のせいと思い込まず、日常生活で不便を感じている方は、一度専門の医療機関へ相談すると良いでしょう。
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