日帰り手術も可能に!高度な腹腔鏡下手術
太ももの付け根辺りの脱腸
放置すれば命に関わる場合も
鼠径ヘルニアは、鼠径部の筋肉や筋膜が弱くなりお腹の中にあるべき腸の一部が、筋膜の隙間から皮膚の下に出てくる疾患です。太ももの付け根辺りに発生し、場所によって「外鼠径ヘルニア」「内鼠径ヘルニア」「大腿ヘルニア」と3つの種類に分かれます。主な原因としては、加齢や生活習慣による筋肉や筋膜の脆弱化が挙げられます。また、立ち仕事が多い方や便秘症、前立腺肥大など、お腹の筋肉に負担がかかっている方の発症リスクが高いと言えます。初期段階では、立ち上がった時などに鼠径部に腫れが出て、指で押すと引っ込みます。そのまま放置しておくと、飛び出した腸が元に戻らなくなる「嵌頓(かんとん)」という状態になり、腸が脱出口で締め付けられ、血流が途絶えて壊死し、命に関わる場合もあるため注意が必要です。
手術時間が短く傷も小さくて済む
低侵襲手術で早期社会復帰を実現
成人の鼠径ヘルニアは自然に治ることがないため、原則として手術が行われます。手術の内容は、ヘルニア嚢(腹膜の袋)をお腹に戻し、ヘルニアの出口を塞ぐという方法です。従来はこの出口を糸で縫い縮めていました。しかし術後の痛みが強く再発の恐れもあるため、最近では出口をメッシュシートという人工膜で塞ぐ方法が主流になっています。 手術の方法は大きく分けて2つあり、鼠径部を3~4㎝切開する鼠径部切開法と、内視鏡を使う腹腔鏡下手術です。高度な技術が必要とされる腹腔鏡下手術にはいくつか術式がありますが、いずれも手術時間は60分程度です。おなかに5~10㎜の穴を3カ所開けてスコープや手術器具を挿入し、手術を行います。傷が小さいため痛みが少ないのが大きな利点で、手術の翌日帰宅できる短期滞在手術です。また、状態によっては術後2~3時間程度で帰宅することもでき、術後から数日で日常生活に戻ることも可能です。
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