成人の鼠径ヘルニアは自然に治ることがないため、原則として手術が行われます。手術の内容は、ヘルニア嚢(腹膜の袋)をお腹に戻し、ヘルニアの出口を塞ぐという方法です。従来はこの出口を糸で縫い縮めていました。しかし術後の痛みが強く再発の恐れもあるため、最近では出口をメッシュシートという人工膜で塞ぐ方法が主流になっています。
手術の方法は大きく分けて2つあり、鼠径部を3~4㎝切開する鼠径部切開法と、内視鏡を使う腹腔鏡下手術です。高度な技術が必要とされる腹腔鏡下手術にはいくつか術式がありますが、いずれも手術時間は60分程度です。おなかに5~10㎜の穴を3カ所開けてスコープや手術器具を挿入し、手術を行います。傷が小さいため痛みが少ないのが大きな利点で、手術の翌日帰宅できる短期滞在手術です。また、状態によっては術後2~3時間程度で帰宅することもでき、術後から数日で日常生活に戻ることも可能です。