がん細胞死滅を図る!高周波による温熱療法
身体に優しい注目のがん治療
年間38万人以上が亡くなっている"がん"。年々増加の一途を辿っており、2人に1人は罹ると言われている国民病です。がん治療では手術療法、放射線療法、化学療法など様々な治療方法が行われていますが、近年、がん細胞の熱に弱いという性質に着目した、がん温熱療法「ハイパーサーミア」が注目されています。
がん組織は、41.5℃~44℃の温度で死滅する性質があり、ハイパーサーミアは高周波によって、がん細胞だけを死滅させていきます。40~45度の熱を用いて1回約30~60分、症状に合わせて複数回行いますが、治療時、患者は横になりながら医師や家族と会話をすることも可能で、リラックスして治療を受けることができます。治療の際、大量に汗をかいたり、ピリピリと軽い痛みを感じることもありますが、麻酔をする必要もなく、副作用や後遺症はありません。がん組織は血流が増加しないため熱を逃がすことができず、がん患部の温度だけが上昇して死滅します。しかし、正常組織は血流が増加して熱を逃がすことができるため、温度が上昇しにくいことから、正常組織を傷つけることなく、がん細胞のみにダメージを与えることが可能です。また、健康な細胞は温度調節機能があるため傷つく心配がなく、何度でも繰り返し治療を受けられることも大きな利点の一つです。
がんの集学的治療で標準治療の効果を高める
がん温熱療法「ハイパーサーミア」は、1990年に放射線療法との併用で保険収載され、その後、化学療法との併用及びハイパーサーミア単独治療も保険適用となりました。がん治療のすべての段階で治療することが可能で、早期がんのみならず、再発がんや転移性のがんにも応用することができます。
身体を温めることにより免疫力も活性化され、手術療法、放射線療法、化学療法などと併用した集学的治療も行われています。それぞれの治療効果を高めることができため、更なる可能性に期待が寄せられています。
Page
Top