高度技術を要する最先端の低侵襲治療
中途失明原因2位
危険な糖尿病網膜症
糖尿病は、一度発症すると治癒することは難しく、様々な合併症を引き起こすと言われています。厚生労働省が実施した「令和1年「国民健康・栄養調査」によると、「糖尿病が強く疑われる者」の割合は男性 19・7%、女性 10・8%また、高齢になるほど罹患率が増加しています。現在、糖尿病予備軍は2000万人。更に、糖尿病患者の約3分の1は糖尿病網膜症と推計されており、進行して視力に影響が出ている人は約300万人いるとも言われています。末期になると失明に至らぬよう手術が検討されます。眼球の中には「硝子体」という透明なゼリー状の組織があり、この硝子体が網膜を牽引し、炎症を持続させて、混濁や出血をおこします。そこで硝子体を切除し、網膜の機能を回復させるために行われるのが「網膜硝子体手術」です。
医療技術の進化!
注目の低侵襲治療
網膜硝子体手術は、眼球の外側にあたる強膜から器具を挿入し、硝子体の切除を行います。従来行われていた手術では、20ゲージ(約0・9㎜)などの器具を用いていたため、切開部位の縫合をしなければならず、長期間の入院が必要とされていました。
しかし近年、医療技術が進歩し25ゲージ(約0・5㎜)や27ゲージ (約0・4㎜)という、小口径の器具が開発され非常に小さい切開創で手術を行うことが可能になっています。基本的に無縫合で手術が行えることから、炎症も少なく、術後回復が早いのが最大の利点です。この小切開硝子体手術は、低侵襲で身体への負担が少ないため、術後の入院期間が大幅に短縮されており、短期滞在で手術が受けられるとして大変注目されています。また、全国でも一部の医療機関では、日帰りで手術が行われています。ただし、短期滞在での網膜硝子体手術の適応は、症状により異なります。術前に、広範囲を高解像度で撮影できる超広角眼底撮影装置や、網膜硝子体の微小血管も描出可能なOCT(光干渉断層計)アンギオグラフィー等による、綿密な術前検査や診断が必要です。
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